完結したマンガの感想・レビュー16048件<<510511512513514>>ハードな物語を彩る、青臭さを超越した名言の数々エリア88 新谷かおる名無しアスランと言えば、『機動戦士ガンダムSEED』とか『ナルニア国物語』ではなく、当然『エリア88』が出てくる3X歳です。『エリア88』に登場するアスランは、中東にあるとされる架空の国の名前。アスランを舞台に空を飛び戦うことしか許されない男たちの生き様はいまだにオッサンたちの心を熱くするのです。 主人公・風間真は日本人。アスラン王国に雇われた戦闘機パイロットとして、空軍基地エリア88に駐留しています。もともとは大和航空の旅客機パイロットとして将来を嘱望されていたのですが、親友の神崎悟の姦計により、大和航空令嬢で恋人の涼子を置いたまま外人部隊に入隊することになります。 シンとアスラン王国との契約は3年間。3年間生き残り、契約を満了するか、違約金150万ドル(当時のレートで日本円3億円)を支払わなければエリア88からは脱出できません。シンはかつての親友・神崎への復讐と愛する涼子のため、この地獄を生き抜く覚悟を決めます。 エリア88にはシン以外にも、、脛に傷持つ男たちが多く集まっています。シンの盟友・ミッキーはベトナム戦争時にアメリカ海軍のパロットとして活躍しましたが、復員後の平和な日常に馴染めずエリア88に来てしまいました。対地攻撃を得意とするグレッグはソビエト連邦からの亡命者の運び屋をしていましたが、ある事件がきっかけでエリア88に流れ着いてきました。歴戦のパイロットそれぞれに事情があります。 『エリア88』の面白い所は、やはり彼らが正規軍人ではなく傭兵であるところです。彼らは国や軍を守るためではなく、ただ自分のために戦います。罰金を払うことで、ある程度の任務の選択もできますし装備の選択も自腹で自由。生き残るために装備を整えれば違約金まで遠くなりますが、怠ればすなわち死…。自身の能力・装備と、任務の難易度を天秤にかけるのです。 物語は、エリア88の個別の作戦から、やがて世界を支配する軍産複合体・プロジェクト4の陰謀まで広がります。傭兵個人の想いを描きながらも大きな大きな物語が展開し、綺麗に完結するという、稀有な名作なのです。 また、忘れてはいけないのが、松本零士作品とも通じる“漢ポエム”があります。「頭上をかすめる排気音…青く輝く誘導灯…地獄を照らす着陸灯…その日、悪魔は“生きろ!”といった…」ハードな物語を彩る、青臭さを超越した名言の数々は、日々、板挟みにあえぐサラリーマンにも意外と通じている気がします。苦しいときに、『エリア88』の名言を思い出して踏ん張っている僕は、色んな意味でどうかしているような気がします。もし都心の湾岸地区で感染症が起きたらFinal Phase 朱戸アオたか医師・鈴鳴、疫学者・羽貫、感染症で父をなくした少年・樽見が、協力して感染症の原因究明、感染拡大を食い止めようと奮闘する物語。 **ものすごい情報量と巧みな構成で、読み終わったあと全1巻とは思えないくらい満足感がありました。** 死亡した患者の家族に聞き取りを行い原因を割り出していく作業や、ウイルスの構造、災害ユートピアなど、実際の知識による肉付けは読み応えがあります。 事態が悪化していく中で、この作品のタイトルが「Final Phase」だと思い出したときは、この先の展開を想像してゾッとしました。 感情移入しやすいリアルな街並み、実写ドラマを観ているような生々しさがたまらない1冊です。 (画像はFinal Phase 4話より)もっと読んでいたかったあしあと探偵 園田ゆりstarstarstarstarstar吉川きっちょむ(芸人)※ネタバレを含むクチコミです。年上の少女に垣間見える十代の初心さ年上のひと 原正人 バスティアン・ヴィヴェス書肆喫茶mori店主少年と少女のひと夏のヴァカンスを描いた作品です。映画を観たあとのような読後感が楽しめる。 ものがたりは二人の母親の流産の告白から始まる。姉がいたかもしれない13歳の少年アントワーヌと、弟ができたかもしれない16歳の少女エレーヌ。 アントワーヌは終始エレーヌに翻弄されているが、年上ぶっているエレーヌも年相応の初心さが垣間見られるように見えるのがたまらない 朝日新聞連載『ののちゃん』のスピンアウト作品女には向かない職業 いしいひさいち名無しいしいひさいち先生といえば、『となりの山田くん』や『ののちゃん』を描いた、押しも押されね四コマ漫画界の大看板。新聞4コマで見かけることが多いので、「ほんわかする作品ばかり描いているのだな」と思われていると思いますが、それは誤解です。時事問題から哲学者4コマまで、ハイブロウ向けな作品もたくさん発表しているのです。また、もう一つの特徴として、ごくたまに、難解というにはあまりに理解不能な作品を発表し、読者を混乱に陥れたりもします。未確認のネットの情報ですが、どうやらいしいひさいち先生自身も、「自分でも意味がわからない」ことが多々あるそうで。もう、ニントモカントモ。 『女には向かない職業』は、朝日新聞に連載されている『ののちゃん』(旧:となりのやまだ君)のスピンアウト作品。ののちゃんの担任の藤原先生が学校をやめ、推理小説作家になった後が描かれています。『女には向かない職業』では新聞4コマでは潜めていた毒がすべて藤原センセイに集約されている素敵な4コマとなっています。 この作品が素敵である一番の理由は、藤原先生が正しくダメ人間だからです。酒癖は悪く、出版社の飲み会では大暴れし、ペコちゃん・ケロヨンを持ち帰り、書評家からは作品についてではなく「酒量を減らせ」と書かれます。部屋は本当に足の置き場もなく、限界を越えたところで引越しをし、すべてをチャラにします。ただ、締め切りに関しては、担当者からの「まだか まだか まだか まだか ……」のクレイジーなFAXが届くぐらいなので、一般的な作家と変わらないレベルに収まっているようです。 4コマまんがの常として、なにかが起きていく話ではありません。ただ、小説家・藤原瞳の自堕落な日常が描かれているだけなのです。なのになぜ、私がこんなにもこの作品が好きなのか、それはいまだにわからないのです。彼らの目に宿るギラギラの正体はなんなのか砂ぼうず うすね正俊名無し足尾銅山の鉱山跡を観光した時、とても印象的な写真がありました。鉱山夫が勢揃いしている写真なのですが、みな薄汚れた格好をして体中を真っ黒にしながらも、目だけはギラギラとした異様な迫力があるのです。当時の鉱山夫は平均寿命は40歳前後。苦しく、刹那的な生活を送っていたという彼らの目に宿るギラギラの正体はなんなのか。そういえば、あの目と同じものを漫画でみたことがあります。『砂ぼうず』に出てくる主人公・砂ぼうずもギラギラとした目をしていました。 『砂ぼうず』の舞台は、人類の文明が崩壊して数百年後、砂漠化した「関東大砂漠」が舞台です。人々は、厳しい環境にもめげず、しぶとく生き残っていました。主人公・水野灌太は、砂漠の妖怪・砂ぼうずとして恐れられる便利屋で、水をめぐる抗争から、人質救出まで切った張ったの世界でいきていきます。 とにかく関東大砂漠の環境は過酷です。徹底して弱肉強食で、「負けたものはバカであり、ゴミであり悪」が徹底しています。登場人物は誰もが生に対して執着し、現代の若者のように「いかに生きるべきか」を悩むようなのはいません。弱者でも弱者なりのしたたかさを持っています。 女を武器に、多くの組織を出しぬき渡り歩く朝霧純子、砂ぼうずのライバルで拷問を愛好する雨蜘蛛、遺跡から発掘した人生ゲームで大儲けし、さらに暗黒時代のテクノロジーを研究しようとする老人・貝塚薫…。 僕は谷川清士という男が好きですね。彼は元々研究者だったのが、朝霧純子の色香に迷い、技術を盗んでの駆け落ちを計画。しかし純子に「会社を辞めたブ男の技術者に 何の価値があるって言うの ただのせんずりボクちゃんじゃない」とこっぴどくふられてしまい凶悪なストーカーになります。強力な装備を背負い、純子と砂ぼうずを追い詰めます…(このエピソードは何度もどんでん返しがあり読んでいて非常に盛り上がります)。 そんな個性的なキャラクターの中にあっても、砂ぼうずは特にしぶとい男です。生き残ることを第一に考え、その方法を躊躇したりはしません。勝つためにはウンコまみれにもなり、泥仕合にもちこみ、生を勝ち取る。追い詰められれば追い詰められるほど目をギラギラさせて、生へのか細い道筋を間違えることなく突き進むのです。 この疑問を持つことのない、確信ともいえる生への渇望が、ギラギラなのではないか、死んだ魚の目をした僕は、そう考えるのです。『巨人の星』のエピローグ新巨人の星 梶原一騎 川崎のぼる名無し大リーグボール養成ギブスやちゃぶ台返し、車を運転する小学生など、自分が生まれる随分前の作品だというのに『巨人の星』について知っている自分に驚きます。 昨年には野球からクリケットに換骨奪胎した『スーラジ ザ・ライジングスター』の放送がインドで開始され、『巨人の星』という作品の遺伝子は世界にも広がり続けています。この『巨人の星』ももちろん面白いのですが、それよりも私が好きなのは、星飛雄馬のその後を描いた『新巨人の星』です。 『巨人の星』で描かれていたのは、星一徹の執念によって生まれた星飛雄馬という野球マシーンの誕生と崩壊です。自分の果たせなかった夢を、息子・飛雄馬に叶えさせようとする一徹は、はっきり言って異常です。こどもらしい遊びもできず、ただ野球のために生きる飛雄馬のクライマックスが、父・一徹との対決です。そこで自分の野球人生を犠牲に、ようやく父と野球の呪縛から解き放たれ、関係者の前から姿を消す飛雄馬…というのが『巨人の星』のエピローグ。 星飛雄馬が消えた数年後から『新巨人の星』ははじまります。結論からいえば、飛雄馬は野球以外のものを見つけることができませんでした。盟友・伴宙太と花形満は、星飛雄馬のいなくなったプロ野球に興味を失い、それぞれ親の会社を継ぎ普通の生活に戻りました。あの星一徹でさえも、花形満と娘・明子の結婚を見守った後は、完全な隠居として野球からは離れています。しかし、左腕が破壊された飛雄馬だけが、まだ“巨人の星”になるという妄執から離れられずにいるのです。いまだ、燃える目の星飛雄馬を目撃した星一徹はひとりごちます。「時代は移り いや終わり わしは老い果てた… もはや戦ってやれんついていけぬ!な なぜやつは…!?」。造物主である一徹の手を離れ、暴走をはじめた飛雄馬の行動は、普通の生活に戻ったはずの伴宙太、花形満、そして星一徹の心にも火を付けてしまいます。 一度失ったはずの夢を追い始めた漢たちの、頼もしくもどこか物悲しい姿を是非読んで欲しいですね。 「モンプチ」の嫁・カレンさんの物語!!私はカレン、日本に恋したフランス人 じゃんぽ~る西たかFEEL YOUNG 2018年3月号より連載している、じゃんぽ~る西先生の奥様でジャーナリストのカレンさん視点で描かれるエッセイ漫画。 ▼西先生のTwitter https://twitter.com/JP_NISHI/status/963802145672724480?s=20 第1話は、1996年、当時26歳だったカレンさんがどうして「リュウイチ・サカモトの国」日本に来ることになったのか。どんな少女時代を過ごしていたのかが語られるのですが、これが最高に面白い…! **「フランスのど田舎の生まれで自然に囲まれて育ち、中学生の頃からラジオ局でバイト。高校生のときには友達とイギリスに1カ月留学しパンクファッションを楽しみまくり、大学時代はボロアパート暮らし」と、エッセイ漫画なのに生い立ちがまるで漫画!!** このように育ったことで「全身真っ黒な服に黒いアイライン、真空パックのご飯を食べて、自分でオーディオを組んだり、スマートウォッチなど最新のガジェットを愛好する(モンプチ1話より)」女性ができあがったんだなと納得。 日本の田舎に生まれた自分にとって、「高層ビルがバンバン建っている大都市へバカンスへ行きたい」というカレンさんの気持ちはすごく共感できました! 毎月楽しみにしている連載もついに2019年8月号で18話目。モンプチは1巻15話ほど収録されているので、そろそろ単行本が出るのではと期待しています。 どっから読んでも面白いので、気になった方はぜひ…!! ▼KarynさんのTwitter https://twitter.com/karyn_nishi読めばちょっと楽になるロックな本禁断の果実 女性の身体と性のタブー リーヴ・ストロームクヴィスト 相川千尋たか「女性器や生理のために『気まずい思いをする』のは当たり前?そんなわけないっしょ!!」と、この本は教えてくれる。 この漫画には、**本来大っぴらに語られることがないもの**が、初めから終わりまでアクセル全開でバンバン登場する。(**まず最初に扱うテーマが「女性の割礼」**と初っ端からヤバイ) その他魔女狩りと「魔女の印」(※「女なら3歳のときにその存在に気づいている体の部位」という表現が作中でされている)、墓に眠る女王の体の秘密、古代文明の像などなど…女性器にまつわる知られざる歴史が次々に登場する。 **常日頃、聞き手も語り手も羞恥と嫌悪から繊細に取り扱う話題がストレートに語られる衝撃はものすごい。** 正直読み始める前は、テーマがテーマだけに読むのキツいな…と思っていた。しかし、心の中で「うわぁ…うわぁ…!!」と抵抗を覚えつつ、最後まで読み通すと晴れやかな気分だった。 現在、わたしたちは当たり前のように女性器や生理の話題を忌避していて、それらのために「気まずい思いをする」ことは少なくない。 だがそれは普遍の真理ではない。 **「気まずい思いをする必要がない」社会もかつては存在していた。** なんだ、これは気まずいことじゃなかったのか…!! でも考えてみればそうだ。 古今東西たくさんの文明社会があって、そこには今の私達とは違う、ポジティブな考え方をしていた人たちだってはずなのだ。 読んでいて一番おもしろかったのが、ある文明では生理は神秘的なものだと考えられていた。その理由は、**「絶えず出血しているのにも関わらず、死ぬことがないから」**。 そんな考え方もあるのかと驚くとともに、なぜか少しうれしくなった。 **開けっぴろげでなかなか衝撃的な本だけど、読めば固定観念が覆されてちょっと楽になる本。**生理ちゃんを読んだ人は次はこっちも読んでもっと楽になってほしい。 https://www.gqjapan.jp/culture/column/20190215/modern-woman-2 https://twitter.com/fantagraphics/status/1069680212445675520?s=20色彩と感傷の美しい共演おともだち 高野文子名無し日本のお友達――春ノ波止場デウマレタ鳥ハ やりたい劇の役になれなかったことを独白する場面から、しばらく目が離せなくなった。初版の淡いカラーページと少女的な感傷の組み合わせがあまりに美しすぎる。 物語も、嫉妬から、チルチル役の笛子さんの境遇を知り、手を差し伸べる、成長譚として完成されている。とにかく美しい漫画だった。 漫画の会話ってこれでいいんだ!絶対安全剃刀 高野文子名無しどの短編も見れば見るほどに発見がある。とりわけ私は「あぜ道ロードにセクシー姉ちゃん」に衝撃を受けた。 主人公は田舎に暮らす普通の女の子。田舎に対しての「うんざり感」が見て取れ、都会に思いを馳せている。スゴイのはこれを「語らずに」表現しているところだ。 田舎っぽい話題で話しかけてくる母親に、主人公はまともに返事をしない。その聞き流す態度で、その心情を表しているのだ。たしかに会話は、言外の態度で、本心などがバレる。そのリアルさをそのまま漫画に持ってきたのだ。この時代にこの作品に出会った人は面食らっただろうな~ 見守りたい短期集中新連載海の境目 桃山アカネstarstarstarstarstar吉川きっちょむ(芸人)『豪雨』http://www.moae.jp/comic/morningzero_gouu 『固定編成』http://www.moae.jp/comic/chibasho_koteihensei 桃山アカネの短期集中新連載。 過去2作の読切はどちらも考えさせられる素晴らしい読切で、絵も漫画の描き方もどんどん上手くなっている。 今回の『海の境目』は前作の『固定編成』の状況をや取り巻く環境を少し変えつつ掘り下げる形、もしくは前日譚的な立ち位置になっていると思う。 事後そして解決をロードムービー的に描く『固定編成』に対して、そこに至るまでも描く『海の境目』。 読切を読んだときも感じたのは、こんな作品を20歳、21歳で描けるのはとんでもないなということ。 ゴロッとした自分の中で処理しきれないような感情、どうしようもなく忘れたい記憶、逃げ出したくてもその糸口さえ見えない日常、どこまでいってもつきまとう血縁、家族ということ、親ということ、無力な子供ということ。 誰にも言えない、理解されえない、逃げられない「孤独」。 登場人物の息苦しさや生きづらさが生々しく表現されているのは今作にも共通する。 ふと、松本剛を思い出した。 短期集中連載のまだ1話目。 これから冒頭で明かされた結末へ向けて物語はどう進むのか。 どうか、由美子にも時田にも救いがあってほしい。 終わっている家族に何を想うか。 怖いもの見たさで楽しみだ。「今となっては…死ぬほど愛してるぜ!」ハイスコアガール 押切蓮介猫あるく作者の押切先生が自分と同世代ということもあり作中の当時のゲーム少年あるあるが本当に細かくてすっかりノスタルジーに浸ってしまいました。 そしてかなりベタで甘酸っぱい恋とオタク的なアイコンだった頃のゲームにここまでの親和性があるとは思わなかった。 ゲームのキャラクターが実世界に導入してくるってかなりファタジーですよね。 最終巻の感動は、ゲームが本当に楽しめていたあの頃。僕達がピコピコ少年だったあの頃に少し戻してくれた気がしました。 押切先生!最高のラブコメ、最高のゲーム愛ありがとうございました!! 伊藤潤二の絵が最高人間失格 伊藤潤二 太宰治やむちゃ人間失格と検索しただけでこんなにあるとは思いませんでしたがやはり伊藤潤二がどんぴしゃのようですね。内に秘めた、暗い人間らしい表情が、太宰治の作品には合っていると思います。 女がいなければ、もっとまともな生き方ができたのかな… ヘラヘラして、適当で、顔と言葉だけで女を好きなように利用してきた男なのに…読後は「かわいそうな人だったね…」という感想が出てしまう。このほっとけなさ、庇護欲を掻き立てる不安定感はやはり素晴らしいですね。テンポと言葉選びが秀逸!CITY あらゐけいいちまさおこの漫画の素晴らしいのはゆる〜い感じと、その雰囲気を出すセリフのセンスにあると思う。ポエムのような、漫才のような独特のテンポで紡がれる会話にメロメロです。ゆったりとした空気の漫画私の神様 夢野つくしまさお輪廻や永遠がテーマなせいか、すごくゆったりとした空気が流れてる漫画。これからの二人の関係性がどうなっていくのか楽しみ。 言葉選びや心理描写が絶妙ぷらせぼくらぶ 奥田亜紀子hysysk※ネタバレを含むクチコミです。マザコン?!大蜘蛛ちゃんフラッシュ・バック 植芝理一大トロ変態っぽい設定ですが、切ないラブコメです。ライバルは花屋に居着く幽霊夏雪ランデブー 河内遙お茶花屋でアルバイトをしている青年・葉月くんは店長の六花に片思い中。 あるとき彼女の家に訪れると、知らない男が居た。 突然の失恋にショックを受けるが、その男は六花の亡くなった夫・篤であることが判明。しかもその姿は葉月にしか見えない。 夫の死後、恋愛から遠ざかっていた六花と、葉月を六花に近づけまいとここぞとばかりに邪魔をしてくる篤。篤の存在を尊重しながらもどうにか六花を振り向かせたい葉月くんとの少しオカルトな三角関係! 最初の方はわりとコミカルに話が進んでゆくけれど、篤が葉月の体を乗っ取ったり、もしかしてこの恋って命がけ?というような展開に。 というコミカルとシリアスが絶妙なさじ加減で描かれてます。4巻で終わるのでぜひこの夏に読んで欲しい… 自分は河内遙先生の描く三白眼男子が大好物なので、それだけでも読む価値があると思いました。 青に、ふれる青に、ふれる。 鈴木望starstarstarstarstar干し芋『青に、ふれる』意味深なタイトルに惹かれました。 女の子の顔にある青あざ・・・。 高校2年生という多感に時期に目立つアザがあって、それを隠すことなく笑顔で生きているなんて、・・・。 とっても心が強い子だと思います。 そして、今までも、人と違うことで差別や、イジメにあってきたであろう娘を前向きに育ててきたご両親も凄い! これから、色々な人に出会い、人生を切り開いていくであろう主人公を見守りたい。 まずは、新任で主人公の担任となった相貌失認症の神田。 人の顔が認識できない病気があるなんて初めて知りました。 圧倒的支配力に立ち向かう動物たちの下剋上ヤスミーン 畑優以nyaeライオンが王族として圧倒的力を持ち支配する国。 王族たちがなによりも「美味しいもの(美食)」を求めて下劣な狩りを繰り返す様に耐えられなくなった奴隷のトムソンガゼルの少年・ブエナは、たった1人で王族に立ち向かう“白い悪魔”と呼ばれるチーターと仲間になり王族を倒すため国を飛び出す。 見た目は動物だが、二足歩行が基本(四足からの進化らしい)。動物らしいのは見た目だけで、感覚としては壮大な人間ドラマを見ているようです。血みどろ、グロ描写が苦手な自分でもすぐ読み終わってしまったほど入り込んでしまいました。 物語の中では王族の中でも中性的な見た目のマルシアスというライオン(すごいナルシスト&めちゃ強くて面白い)との戦いがメインで、命がけの戦いは一旦終わるものの「王族を倒す」という目的にはまだ程遠いところで完結しています。 マルシアスより強いライオンもいて、そしてその頂点に立つ王は姿も見せない。 何かしらの事情があってのことかは不明ですが、続きがあるなら読みたい…! 「ヤスミーンて何」と思いながら読んでましたが最後の最後で知ることが出来ます。お前私のこと好きだろ!それでも歩は寄せてくる 山本崇一朗 ねこまど 北尾まどか大トロ山本宗一朗先生は可愛い女の子を描く天才ですね! 美大生に憧れてたモディリアーニにお願い 相澤いくえさいろく物語について。 才能のあるなしって本当に重要なのかなとか、見えるとこまで行った頃にもし自分に才能ないってわかったらすごいツラいんじゃないかとか、そういうのがそのまま描かれててすごいツラいし、いい話もあってイイハナシダナーってなるし、色がないのに(トーンもない?かも?)すごい色が見えるような手書き感が堪らなく好き。 自分の語彙力のなさが悔やまれる。 ↓雑記として。 カッコいいと思ってたから美大に行きたいと真面目に考えてた時期があって あの頃は絵とか芸術とかちょっと好きだから他人より芸術家向きですごい才能があるんじゃないかとか勘違いしていて ムサビとかタマビとかの学園祭とか行ってみたりもした。 そして本当にこういう感じの人たちがいっぱいいた。 表現者というか、卵感があるけどどういう考えでそういうものが作れるのかと感心した。 相澤いくえ先生がすごいと私が思うのは、そういう感じたものみたいな見えないものを「当時の若い私目線でも感じていたであろう感覚」をマンガに描いて人に伝わる形にしているところ。 実際の感覚なんて形ないんだからわからないんだけど。 4巻も好きだった。よかった。読み終わって、救われた気持ちになりました。犬神もっこす 西餅名無しシュールでいてハートフル。 そしてこれほど全5巻の作品で 読みすすめていくうちにドンドン印象が 変わって行ったマンガもあまりない。 感情表現が出来ないというか、感情が無いとすら 思える殆どサイコパスのような主人公・犬神君。 犬神君は犬神君なりに集団に属したい、普通の感情を 理解し味わい身につけたいと、 大学で演劇サークルに入会する。 しかし犬神君はそのキャラゆえに周囲を振り回し あきれ返させまくる。 衣装は燃やすわセットは破壊するわ、 話の手綱を異世界へと引っ張るわ。 ドタバタ・コメディ的な展開で話は進む。 第3巻での犬神家の祭りはほとんどその究極。 なので最終第5巻あたりではドンダケ~なレベルに コメディがエスカレートしていくのだろうと思っていたら・・。 犬神君は空気を読まない、読めない的な性格で いわゆる典型的なコミュ障ではあるが、 それは逆に言えば「裏表がない」性格にも見える。 正直過ぎるレベルで常に本音を語る人格にも見える。 見えてしまう。一見では。 表面的な仮面をつけない性格なのだという印象を受ける。 受けてしまう。最初は。 演技とは通常は仮面を被ることだ。 犬神君が感情を知るために演技を学ぼうとする。 このマンガは二重の意味でその矛盾を突いてきた。 「演技は虚構である」 「仮面は表面につけるもの」 ということを突いてきた。 演技は虚構であるがそれだけではない。 仮面は心の奥底に被せるものだ。 第5巻まで読んで、犬神君が演劇サークルに入ったことを 素直に良かったねと思ったし、 その物語を読んで自分も救われたような気持ちになった。 <<510511512513514>>
アスランと言えば、『機動戦士ガンダムSEED』とか『ナルニア国物語』ではなく、当然『エリア88』が出てくる3X歳です。『エリア88』に登場するアスランは、中東にあるとされる架空の国の名前。アスランを舞台に空を飛び戦うことしか許されない男たちの生き様はいまだにオッサンたちの心を熱くするのです。 主人公・風間真は日本人。アスラン王国に雇われた戦闘機パイロットとして、空軍基地エリア88に駐留しています。もともとは大和航空の旅客機パイロットとして将来を嘱望されていたのですが、親友の神崎悟の姦計により、大和航空令嬢で恋人の涼子を置いたまま外人部隊に入隊することになります。 シンとアスラン王国との契約は3年間。3年間生き残り、契約を満了するか、違約金150万ドル(当時のレートで日本円3億円)を支払わなければエリア88からは脱出できません。シンはかつての親友・神崎への復讐と愛する涼子のため、この地獄を生き抜く覚悟を決めます。 エリア88にはシン以外にも、、脛に傷持つ男たちが多く集まっています。シンの盟友・ミッキーはベトナム戦争時にアメリカ海軍のパロットとして活躍しましたが、復員後の平和な日常に馴染めずエリア88に来てしまいました。対地攻撃を得意とするグレッグはソビエト連邦からの亡命者の運び屋をしていましたが、ある事件がきっかけでエリア88に流れ着いてきました。歴戦のパイロットそれぞれに事情があります。 『エリア88』の面白い所は、やはり彼らが正規軍人ではなく傭兵であるところです。彼らは国や軍を守るためではなく、ただ自分のために戦います。罰金を払うことで、ある程度の任務の選択もできますし装備の選択も自腹で自由。生き残るために装備を整えれば違約金まで遠くなりますが、怠ればすなわち死…。自身の能力・装備と、任務の難易度を天秤にかけるのです。 物語は、エリア88の個別の作戦から、やがて世界を支配する軍産複合体・プロジェクト4の陰謀まで広がります。傭兵個人の想いを描きながらも大きな大きな物語が展開し、綺麗に完結するという、稀有な名作なのです。 また、忘れてはいけないのが、松本零士作品とも通じる“漢ポエム”があります。「頭上をかすめる排気音…青く輝く誘導灯…地獄を照らす着陸灯…その日、悪魔は“生きろ!”といった…」ハードな物語を彩る、青臭さを超越した名言の数々は、日々、板挟みにあえぐサラリーマンにも意外と通じている気がします。苦しいときに、『エリア88』の名言を思い出して踏ん張っている僕は、色んな意味でどうかしているような気がします。