「大変! どうすればいいの?」突然停止したデパートの社員用エレベーターに閉じ込められたジュリエット。閉所恐怖症からパニックに陥った彼女は、気がつけばたくましい腕に押さえこまれ、強引にキスを奪われていた。彼女を落ち着かせるため、見知らぬ男性が唇をふさいだのだ。――やがてふたりは救出されるが、すぐにジュリエットは思い知ってしまう。頼もしいその男性ロブはデパートのオーナーであり、普段なら口もきけない雲の上の存在であると。
美しい少女マルタは旅芸人。一座とともに歌い踊りながら世界各地をさすらい生きてきた。そんな彼女がある時、運命の悪戯でオーストリア将校フランツと出会ってしまう。彼は今まで会ったどの男性とも違うわ! 迫害を受けることもある最下層の踊り子と、最上級の貴族の将校。身分違いだと誰もが止めるが若いふたりの恋は燃え上がり…!? 愛と葛藤に切なく胸を締めつけられる表題作ほか、「クリスチナ女王」「紅の嵐」の計3編を収録したしのざき薫幻の傑作選です。
サヴァンナは2年前に、両親を事故で亡くしたあと遺産を弟に持ち逃げされ、以来、兄と2人で懸命に牧場を守ってきた。オールド・ローズという薔薇に興味をもったのも薔薇作りで家計を助けたかったからだ。貴重なその薔薇は、百年も昔に無人となったゴーストタウンにあるはず。だがそこは不気味な場所で、近づいてはいけないと兄に言われていた。そんな時、サヴァンナは町外れで見知らぬ男性と出会う。オールド・ローズをよく知ると言う彼にサヴァンナは心惹かれ!?
エリーは町の小さな食料雑貨店の看板娘。けれど父は病死。その後、母は突然町を出ていった。家族の大切な店だったはずなのに…。ひとりとり残された気分になり、泣いていた彼女を慰めたのは、幼なじみのグレンだった。そのやさしさに涙がとまらなくなるエリー。その時だった、グレンがそっとキスをしたのは――。親友と思っていたのに、涙を拭う手をとめて、何も言わずに抱きよせたのはなぜ?あの1度きりのキスが、いつまでも甘く唇に残っている気がするのは…なぜ?
キャロラインは未婚の母。彼女は娘を身ごもったまま、相手の男に捨てられたのだ。以来、町の郵便局長を務めながら、女手ひとつで娘のマギーを育ててきた。娘の父親の名前は、町の誰にも教えていない。小さな町では秘密はあっと言う間に伝わってしまうものなのだ。けれど、そんな彼女に幼なじみのグレイディが本気でアプローチを仕掛けてきた。彼を…愛しているかもしれない。でも、彼を傷つけるかもしれないこの秘密を、打ち明けなくてはいけないの?
突然のボスからのプロポーズに、秘書のジェーンは息を飲んだ。「娘の母親になってくれないか」彼が妻を亡くし幼い娘を愛情豊かに面倒をみてくれる女性を探しているのは知っている。そしてジェーンはそんな彼にひそかに恋をしていた。彼から決して愛されているわけじゃない。欲しいのは母親役。たとえ愛がなくても結婚してずっと彼のそばにいられるなら…それだけで十分。しかし次第に愛されないまま夫婦を偽り続けることにジェーンの苦しみは深まっていき…。
いいかげんな女のふりをしてほしいですって? ディジーは親友のとんでもない頼みに驚いた。親友が遺産を相続するためには厳格な叔父に真面目さをアピールしなくてはいけない。ディジーが無責任であればあるほど親友である自分がいかにすばらしいか伝えられると言うが…。気乗りしないままディジーが古城へ向かうと、目に飛びこんできたのは湖で優雅に水浴びをするギリシア神のように見事な肉体をもつ男性! まさかその男性が親友の叔父ザカリアだったとは――。
ウエディングドレスはみごとに仕上がった。サテンの優美なレース飾りのドレス。それは、絵本のなかで、愛らしいはつかねずみの花嫁のドレスと同じものを、特別注文したものだった。これを着て、フランは花嫁になる――いや、リサのママになるのだ。そう、リサのためだけにフランはリトリックと結婚する。リサの願いどおりの絵本そっくりのドレスで。リトリックの娘、母のいない6歳のリサが求めるママになり、あと半年という小さな命の最後の日々を幸せにするために。
マギーは祖父の遺言に頭を悩ませていた。次の誕生日までに結婚相手を見つけなければ、大切な祖父の屋敷が人手に渡ってしまう。恋人もいないのに、あと2か月で結婚なんてムリよ!法的になんとかしてほしいと、マギーは弁護士である兄に相談するが、兄はなぜかパーティーにマギーをつれ出した。会場ではデート相手をオークションで落札するというイベントの真っ最中。壇上には女性なら誰もが憧れる、プレイボーイと名高いブレイディ・マックィーンが微笑んでいて!?
5年前、アリックスは幸せな花嫁だった。愛されていると信じたすべては、しかし嘘だった。夫のピアスはアリックスの一族への復讐のためだけにまんまと彼女と結婚し、財産を手にすると翌朝離婚を告げたのだから!ようやく胸の痛みを忘れかけた頃、彼は残酷にも舞い戻ってきた。アリックスの父が経営する会社が倒産寸前のところに現れ、なんと援助を申し出たのだ。「ただし条件がある。君がもう1度僕の妻になるなら」と。ひどいわ。彼は私を弄ぶために戻ってきたの?
「戦争が終わったら必ず戻る。そうしたら結婚しよう」貴族のコリンと宿屋の娘ローズは、身分違いだったがそう誓いあった仲だった。だが、ナポレオン軍との戦場で、コリンはローズから一方的な婚約破棄の手紙を受けとる。納得のいかない彼が帰国後ローズを尋ねると、彼女は行方不明になっていた!そしてついに捜し当てたローズは、ある貴族の老婦人の荘園で家政婦をしていたが、彼女は愛を告げるコリンのことをまるで知らないふりをして…?
キャットはいとこのケイトと祖母と3人で田舎町に暮らしている。若くて独身なのに男性の影がないと近所の噂になってもキャットは気にしていなかった。婚約していた相手に利用され裏切られて以来、男は信用しないと決めているのだ。住んでいる大きな家を保育園にして日々忙しく暮らしていたけれど、ある日転機が訪れた。ケイレブ・レイノルズ。「息子を保育園に通わせたい」と面接しに来た男性。彼からは危険な香りがする――!
責任感が強く聡明な第一王女アレックスは、行方不明の兄の手掛かりを追ってアリゾナへ。だが牧場主ミッチは義弟がいつ戻るかわからないという。嫡男のいない王家の長女にとって結婚は義務。恋愛結婚なんて不可能だと思っていたが、兄さえ見つかれば…。強気で滞在を決めた彼女だったが、ミッチに恋してしまって!?
「これで私たち自由よ!」意地悪な継母のもとを飛び出したベッキー。今まで家政婦のようにこき使われ、そのうえ彼女の愛する老犬や猫まで虐げられてきた。これからはひとりと2匹で生きていくのだ。でもこのどしゃ降りの雨のなか、まずは住む場所と仕事をみつけなければならない。すると、途方に暮れる彼女の横に1台のロールスロイスが停まった。運転席の男性は彼女を温かい車中に招き入れただけでなく、その境遇を知るや、信じられない提案をもちかけて…?
ロマンス小説家志望のベイリーは、通勤途中の地下鉄で背の高いハンサムな男性と出会う。上品なスーツ姿、クールで超然とした雰囲気。…彼こそヒーローにぴったりだわ!執筆の参考にとさっそく尾行を開始したベイリー。自作のヒロインの名を語り、名前を聞き出すことに成功したのも束の間、彼に見つかってしまって!?
スティーヴ・コンランなんていう男性、知るもんですか!離婚後、娘をひとりで育ててきたメグは憤慨していた。娘がメグの名で勝手に恋人募集の広告を出し、見ず知らずの相手とデートしろと言うのだ。一方、高級レストランでメグを待つスティーヴも困惑していた。彼もまた、独身の兄を心配する妹の策略でここへ来ていた。しかし実際に会ってみて、ふたりは意外にも意気投合する。そして自分たちをこんな目に遭わせた娘と妹を協力して懲らしめてやろうと決めるが?
念願の一戸建てを購入した公認会計士のロビン。新しい生活が始まるというのに、隣には偏屈な男が住んでいた。ひときわ大きな屋敷で犬と暮らす、知的でハンサムだが無愛想な弁護士コール。夫を亡くして以来、本気の恋とは無縁だと思っていたロビンだが、一人息子の家出事件をきっかけに、二人の仲は急接近して…!
10代の頃、コリーは隣に住む名家の長男ニックに恋をした。けれど淡い恋心はすぐに砕け散った。ニックはコリーが彼の弟と親しいことを快く思わず、「君は弟に相応しくない。住む世界をわきまえたほうがいい」などと言い放ったのだ。いくら私の家が貧乏でも、そんなこと言われたくない…!それ以来すっかり恋に臆病になったコリーの前に、6年後、急にニックが姿を見せて、まるでコリーの関心を買いたがっているかのようにふるまい出して…?
「なぜ僕の招待を受けないんだ?」罪つくりなほどハンサムな億万長者ニックにせまられ、ベスの胸はざわめいていた。彼とベスは、ほんの数日前に出会ったばかり。ニックの運転する車にベスがぶつかってしまい、その後、強引にクリスマスに招かれたのだ。ベスは2年前に事故で夫を失って以来、人にもロマンスにも背を向けて生きている。でも危険な香りのするこの男性のそばにいるだけで、心が拒否してもからだが反応してしまう。もう恋などしないと決めたのに…。
リリーの恋人はイタリア人の大富豪ヴィート。でも彼は、ふたりの関係に未来はないといつも明言している。結婚する気はないし、子供もいらないと。なのに赤ちゃんができてしまうなんて…。ショックを受けながらもリリーは勇気を出して彼に妊娠の事実を告げるが、結果はサイアクだった。彼はなんの説明もないまま彼女を一方的に家から追い出したのだ!だが6週間後、なぜか突然リリーのもとに彼が現れ、傲慢にも宣言した。「君には今すぐ僕と結婚してもらう」と。
両親亡きあと、たったひとりで3人の弟を育て上げた働き者のケルシー。そんな彼女が、マンハッタンの億万長者ルーク・グリフィンに誘惑され、いきなりセレブな生活を体験することに。それはケルシーの「夢のリスト」がきっかけだった。それまで人の世話に明け暮れてきた彼女は、末の弟の高校卒業を機に、実現したい夢をリストアップしたのだ。『旅をする、絵を描く、熱烈な情事をもつ』と。それを見たルークが、すべてまかせてほしいと提案してきて…!?
ザビエル王国のルーシー王女は嘆いていた。なぜ彼は、私を奪いに来てくれないの?電話もメールも試みたけれど、彼からはなんの音沙汰もない。愛していると言ってくれたのは嘘だったの?一方、セスは怒っていた。なぜ彼女は僕を捨てて故郷へ帰った?いくら国王に呼び戻されたとはいえ、そのまま連絡を絶ってしまうとはひどすぎる。身分違いと、周囲の思惑によってひき離されたふたりの愛。けれど思いがけない形でやり直すチャンスが訪れて…!?
身勝手な弟に泣きつかれ、通販カタログの撮影をひき受けたリリィ。すると撮影中、ひとりの男性がやって来た。背の高い黒髪の彼は、全身からいらだちと傲慢さをにじませ言い放った。「君が僕の甥をモデルに雇った責任者か?無知な若者を甘い言葉で誘い、やがて悪徳と堕落の世界へひきずりこむ。君のような人間には吐き気を催す」誰だか知らないけど、恐ろしい誤解だわ!あまりのショックにリリィがめまいを起こすと、彼は腕のなかに彼女を抱きとめて…。
冗談じゃないわ!ウエディングコンサルタントのケルシーは怒りに震えた。4度も仕事を依頼しておきながら、4度とも結婚をやめた有名女優、フェイスの5度目の挙式準備をまたしても頼まれたのだ。ケルシーは絶対ひき受けたくはなかったのに、フェイスの兄で大富豪のウィルに巧みに説得されてしまった。おまけにセレブ一族の挙式をマスコミに嗅ぎつけられてはならないと、彼女はセクシーな魅力を振りまくウィルとひとつ屋根の下、泊まりこみで働くことになり!?