永世乙女の戦い方
女流棋士として普通なのが、むしろ良い
永世乙女の戦い方 くずしろ 香川愛生女流三段
六文銭
六文銭
同著者の作品「千早さんはそのままでいい」が好きで、将棋マンガも好きだったので、ある種流れで読んでしまったが、いい作品に出会えた。 女流棋士を題材にした作品だが、特に気に入ったのが、主人公がその業界ではいたって「普通」な感じなところ。 もちろん主人公になるくらいなので、ある種センスみたいなものはあるようだが、神童だったとか、業界から一目おかれるズバ抜けた才能があるとかない。 なんなら奨励会に通う年下に、ハンデをもらうくらいだ。 伝聞推定だが、将棋界とは、幼少の頃から化け物みたいな強さでしかプロにはなれないし、ゆくゆく生き残っていくにはそれ以上でないと厳しいと聞いているなかで、主人公の能力はいたって平均値(ちょっと強い?)くらいの印象しかない。 ずっと続けていくのかも不明だ。 ただ、将棋を教えてくれた憧れの女流棋士と指したい、その一心のみで指している。 この普通なのが、なんとも良いんです。 将棋よく知らない一般人と目線が揃うというか、特に女流はぬるま湯とか腰抜けとか、この普通さに女流の現実を切り込んできちゃうのもいい。 そんな主人公の香が、これからどう化けていくのか、そのきっかけは何なのか、将棋界における女流の現実と、どう立ち向かうのか? 色々、今後が楽しみな作品です。
永世乙女の戦い方
将棋で殺り合う女たちが見たいあなたへ
永世乙女の戦い方 くずしろ 香川愛生女流三段
兎来栄寿
兎来栄寿
最近また一気に将棋マンガが増えてきていて、小学生の頃に囲碁・将棋クラブに入ってNHK将棋講座を日曜午前の楽しみにしていた身としては嬉しいです(とはいえ、カバー下おまけの詰将棋を5分考えて解けなかったレベルです)。 作中で詳しく解説されますが、棋士と女流棋士には大きな違いがあり、それでも敢えてとある理由から女流棋士として強くなろうとする女子高生・香を中心に物語は展開していきます。 様々な百合マンガを手掛けてきたくずしろさんらしい人物造形と関係性が随所で見られ、エクストリーム百合痴話喧嘩マンガの『ラブデス。』を将棋でやっているかのような対局は特に見所です。 将棋指しは常軌を逸した人が多いので、そういう意味ではくずしろさんが描く女性として意外と相性が良い題材だなと感じました。 将棋が全く解らない人でも問題なく楽しめるであろう演出の派手さと構成となっています。個人的に、香の母親が「将棋のことなら止めない」と全力で(基本ルールも解らないのに娘の全棋譜を取るくらいに)応援してくれているというエピソードが好きです。 ちなみに、推しは勿論塔子さんです。
永世乙女の戦い方
スペリオールに強力なニューヒロイン誕生!
永世乙女の戦い方 くずしろ 香川愛生女流三段
mampuku
mampuku
 超好きな感じの新連載が始まったので(出遅れたけど)クチコまずにはいられなかった! 作者はこれまで数々の上質な百合漫画を世に送り出してきたくずしろ先生。「女子」特有の価値観や関係性などを下敷きにしつつ、将棋というジャンル、そして香という強烈なヒロインものとして極上エンタメに仕上がっています。  ヒロインのぶっ壊れたカッコよさや脇役たちの人間味など、同じスペリオールで連載中の「響」と共通する魅力を感じます。しかし「永世乙女」はそれだけでなく、とにかく絵が良いんです! 誌上で随一の華があります。線が美しく、構図やキャラの表情に力がある。  ちょうど最近「響」に登場した天才漫画家が曰く 「漫画の命はキャラクターでしょ。とにかくキャラがあってそいつらが次々に何かする。」 「キャラも作れない描きたいイベントも特にない。でも漫画に関わりたい。そんなアホがゴロゴロいる。そんな才能のない新人や枯れたじじいが行きつく先が情景描写に心理描写。」 「死がどうとか性がどうとかにいちいち葛藤するなんの内容もない話に背景だけ描きこんでうすら寒いポエムのっけて」  ……両手をあげて賛同はできないものの一理あるなと思いました。そして数週間後に始まった「永世乙女」を読んで「そうそうそれが読みたかったんだよ!」と笑。キャラが動き、絵が語る、これぞ漫画。

香川愛生女流三段の作品についての雑談・質問

雑談・質問がありません