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レトロゲ
生粋の作者が描くレトロゲー×美少女 #1巻応援
レトロゲ 日下一郎 本多創
兎来栄寿
兎来栄寿
20年以上前のゲームをレトロゲーとするなら、プレイステーションやセガサターンはおろかプレイステーション2やゲームキューブやニンテンドーDSすら最早レトロゲーという時代。いかがお過ごしですか。良いんです、私たちは『ガンダムSEED』を観たり『FF7REBIRTH』をプレイして盛り上がって楽しく生きていましょう。 さて、皆さんレトロゲームはお好きですか。かわいい女の子×レトロゲームという組み合わせの作品も増えてきた昨今ですが、本作は一味違います。なぜなら、原作者があの『Final Re:Quest ファイナルリクエスト』の日下一郎さんだからです!(『ファイナルリクエスト』は私の激推し作品のひとつですので、未体験でしたらぜひ検索してみてください) 主人公・英川叡子の「サブカルにも詳しくレトロゲーの知識もYoutubeで学んだ」という設定は、時代だなあと感じずにはいられません。2000年以降に生まれた子がファミコンを知るのは親兄弟などに愛好家がいないと無理ですからね。カセットをふーふーした体験とか持ってなくて当然なわけですよ。 その成績優秀な叡子の更に上を行き、塾でいつもトップを取っている美原美子は、正真正銘本物のレトロゲー好き女子。いえ、好きというレベルを超えた何かの域に達しています。 第1話では、美子が「ファミコンを代表する1本は何か」と問い、叡子は『マリオ3』と答えます。わかります。アイテムで自由に空を飛べるようになってますますアクションに幅ができ、ミニゲームや満載の裏ルートや隠し要素なども最高ですからね。それに対して、とある理由により美子が返す答えは『'89 電脳九星占い』。もう、この時点で格が違っておりこのマンガの本気度が伝わりますね。 マンガに例えるなら、「『ガロ』を代表する1冊は何か」と問われて『カムイ伝』と答える一般人に対して『『ガロ』に人生を捧げた男 ― 全身編集者の告白』と答えるような感じでしょうか(余計伝わりにくそう)。 世間の皆が『ドラクエ』や『FF』に興じていた中で、それらもやった上で『アマランス』や『グレイストン・サーガ』にも興じていそうなオーラをビンビンに感じます。 3話では、究極の問題である『ドラクエ5』の結婚にも切り込みます。叡子はフローラ派であり、長年迫害を続けられつつもPS2版では幼少期にビアンカよりも早い登場があり大逆転を果たしたものの、『いたストDQ&FF』にて性格に難がありすぎてまた辛い思いをした私にとって推しポイントは違うものの勇気付けられる話でした。 5話の冒頭の懐かしいCMネタなどにも、往年のゲーマーならニヤリとしてしまうことでしょう。ドリームキャストで通信費がえらいことになって親に鬼詰めされていた友人は元気かな。 黒い「R7」などは、日下さんならではの、他の人にはなかなか描けない領域の濃ゆいレトロゲーネタでしょう。そういったものが好きな方には最高の作品です。もちろん私は大好きです。 クソゲーへの向き合い方も、愛を感じてとても良いです。さすがに6人プレイはしたことないですけど。 毎回のピアスやイヤリングに、そのときに扱う作品や事象が示唆されているのも面白いです。ただレトロゲームについてマニアックに語るだけでは終わらない展開も見どころです。 海外に日本のレトロゲームが流出していく流れが激化する昨今、ザリガニやミカドなどに行くのが好きな私としてはああいう遺産レベルのゲームを国内に保全する大きな場所ができてほしいですね。1巻最後に出てくる美子の家は憧れです。 ともあれ、レトロゲーマーとしては、「そんな話をもっとしてくれ…もっと……!」と赤木の前の銀次のようになる作品です。
Final Re:Quest ファイナルリクエスト
プレーヤーが離れた後、物語世界には何が起こるのか…。皆が忘れた物語のその後。
Final Re:Quest ファイナルリクエスト 日下一郎 株式会社ヒューガ
名無し
我が家には大量の積まれた本があります。その中の6割は、一生我が家のスペースを圧迫するだけの存在になりそうです。本に負けず劣らず多いのが、積みゲー。なぜだか、ラスボス前になると急に飽きてしまうのです。クリアのまま、打ち捨てられているゲームの数々…。その物語の世界はどうなっているのでしょうか。  『ファイナルリクエスト』はそんな、プレーヤーから見捨てられたゲームの行く末を描く作品です。クリアされ、プレーヤーが離れた後、物語世界には何が起こるのか…。めでたしめでたしのまま、世界は過ぎるのか…。皆が忘れた物語のその後を描くのです。  表紙をめくると懐かしい“説明書”風のイラストがまず表れます。ファミコンのペラペラな2色の説明書を読むだけでワクワクした小学生時代を思い出します。そして登場人物紹介があって…ぶっちゃけ「ドラクエ4」を思い出すと話は早いですね。  そして物語の本編がはじまります。世界もキャラクターも全てがドットで描かれてる物語は、ラスボスを倒したシーンから始まります。勇者と仲間たちが苦労して旅をし、最後のボスを倒して大団円――。しかし、物語はそこで終わりませんでした。  勇者の仲間の一人、老戦士アソンテは急に世界が止まってしまっていることに気が付きます。いったいいつからこの状況が続いているのかも、思い出せません。生きているものが誰もいない城を歩き回り、城が“何か”によって壊されているのを目撃します。魔王とかモンスターとは全く違う脅威を前に、アソンテは勇者を探し出すことを決意します。どこかに消えてしまった勇者を探し求める旅が始まるのです。  外からみている読者は世界を蝕む“何か”がバグにあることに気が付きます。物語世界を蝕む0と1と英数字の塊。ファミコンカセットを変なふうに差し込んで起動したときに現れる壊れた世界。それがファイナルリクエストの世界を蝕んでいくのです。  見る影もない世界を目の当たりにしながら、あてもなく解決の方法をさがすアソンテは、華々しい冒険の裏側も再発見していくのです。人間になりたいと言ってなついていたモンスターがどこに消えていったのか。守銭奴の商人がなにを求め金を漁っているのか…。いなくなった勇者は一体何者だったのか。それは製作者とユーザーの都合によって打ち捨てられていった物語の残滓です。  作られた物語の登場人物であることを知らず、あがき続ける彼らの姿はある意味で滑稽です。でもそれを笑うことは決してできない何かがあるのです。  我々がゲームの楽しみを享受しつつも見ないようにしてきた、後ろ暗い何かがこの作品では描かれている、鎮魂歌のような作品なのです。
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